不眠とは、寝つけない・夜中に何度も目が覚める・朝早く目覚めてしまうなどで十分に眠れず、その結果として日中の眠気や倦怠感、集中力の低下といった支障が出ている状態を指します。こうした状態が週3日以上・3ヶ月以上続く場合は、治療の対象となる「不眠症」の可能性があるとされています。「たかが眠れないだけで病院に行ってよいのだろうか」とためらっていませんか。眠れないのは、気合いや根性が足りないからではありません。睡眠は体内時計やストレス反応など複数のしくみに支えられており、そのどこかが崩れれば誰にでも起こりうる不調です。

この記事では、次のことがわかります。

  • 不眠とは何か、一過性の不眠と「不眠症」を分ける線引き
  • 入眠困難・中途覚醒・早朝覚醒・熟眠困難という4つのタイプの違い
  • 不眠を引き起こす5つの原因と、背景に隠れていることのある病気
  • 睡眠衛生・認知行動療法・薬物療法という治し方の全体像
  • 今夜から試せる具体的な工夫と、やってはいけない4つのこと
  • 睡眠薬の一般的な考え方と、受診を検討する目安

この記事の監修

星野 奈生子(精神科医)

不眠とは?眠れないことで日中に支障が出ている状態

不眠とは、眠る機会や環境が整っているにもかかわらず、寝つき・眠りの持続・目覚めのいずれかに問題があり、日中の生活に何らかの支障が生じている状態です。ポイントは「眠れないこと」そのものより、「眠れないせいで昼間つらい」という日中症状にあります。夜更かしや仕事の都合で睡眠時間が短いだけの状態(睡眠不足)とは区別されます。

一過性の不眠と「不眠症」の線引き

大事な予定の前夜や、引っ越し・異動の直後に眠れなくなるのは、多くの人が経験する自然な反応です。こうした一過性の不眠は、原因となる出来事が過ぎれば自然に戻っていくことがほとんどとされています。一方で、次の3つがそろうと、医学的に治療を検討する「不眠症」の状態と考えられています。

1. 頻度: 眠れない夜が週3日以上ある

2. 期間: その状態が3ヶ月以上続いている(3ヶ月未満は短期の不眠症とされます)

3. 日中の支障: 倦怠感、眠気、集中力・意欲の低下、気分の落ち込み、仕事や家事の効率低下などがある

国立精神・神経医療研究センターの解説でも、不眠が週3日以上・3ヶ月以上持続する場合は、治療が必要な慢性の不眠症の可能性があるとされています。逆にいえば、たまに眠れない夜があっても日中に困っていなければ、すぐに病気とは判断されません。「眠れた時間」ではなく「昼間の困りごと」を目安にするのが、自分の状態を見極めるコツです。

どれくらいの人が悩んでいる?

不眠は珍しい悩みではありません。厚生労働省・国立精神・神経医療研究センターの「こころの情報サイト」では、不眠の悩みを持つ人は3人に1人、治療の対象となる不眠症は10人に1人程度で、比較的女性に多いとされています。

また、厚生労働省が公表した「健康づくりのための睡眠ガイド2023」によると、令和元年の国民健康・栄養調査で1日の平均睡眠時間が6時間未満だった人の割合は男性37.5%・女性40.6%にのぼり、2021年のOECDの調査でも日本人の平均睡眠時間は調査対象33カ国の中で最も短かったと報告されています。眠れない・眠る時間がないという悩みは、日本社会全体の課題でもあるのです。

睡眠時間は年齢とともに変わります

「昔は8時間眠れたのに」という感覚は、必ずしも異常のサインではありません。脳波を用いて夜間の睡眠時間を厳密に調べた研究では、15歳前後で約8時間、25歳で約7時間、45歳で約6.5時間、65歳で約6時間というように、成人後はおおむね20年ごとに30分程度ずつ夜間に眠れる時間が短くなることが示されています。年齢に見合わない睡眠時間を目標にすると、「眠れない」という焦りだけが強くなってしまうことがあります。

不眠の4つのタイプ — あなたはどれに近い?

不眠は、眠りのどの部分でつまずいているかによって、大きく4つのタイプに分けられます。タイプによって背景にある原因や対処の方向性が変わるため、まず自分がどれに近いかを整理してみてください。

タイプ どんな状態か 目安 背景にありやすいもの
入眠困難 布団に入ってもなかなか寝つけない 寝つくまでに30分〜1時間以上かかる 緊張・不安、カフェイン、体内時計の遅れ、脚の不快感
中途覚醒 夜中に何度も目が覚め、その後眠りに戻りにくい 一晩に2回以上目が覚める 加齢、いびき・呼吸の乱れ、飲酒、頻尿、痛み
早朝覚醒 起きたい時刻より2時間以上早く目覚め、再入眠できない 予定より2時間以上早い 気分の落ち込み(うつ状態)、加齢による朝型化
熟眠困難 時間は眠っているのに休んだ感じがしない 睡眠休養感が乏しい 睡眠時無呼吸、浅い眠り、ストレス、慢性の痛み

4つのタイプは重なることもあります

これらは排他的な分類ではなく、「寝つきも悪いし、夜中にも目が覚める」というように複数が重なることがよくあります。無理にひとつに決める必要はありませんが、「いちばん困っているのはどれか」を言葉にできると、診察で医師に伝えやすくなります。

「睡眠休養感」という新しい物差し

近年の睡眠対策では、眠った時間の長さと同じくらい「睡眠休養感(睡眠で休養がとれているという感覚)」が重視されています。厚生労働省の睡眠ガイドでも、良い睡眠は量(睡眠時間)と質(睡眠休養感)の両方で捉えるものとされ、睡眠休養感の低下は健康状態の悪化や抑うつ症状とも関連することが報告されています。「7時間眠れているから大丈夫」と考えず、朝起きたときに休まった感じがあるかどうかも確認してみてください。

不眠の原因 — 5つの視点で整理する

不眠の原因はひとつではなく、複数が絡み合っていることがほとんどです。睡眠医学では、原因を次の5つの視点で整理する考え方が広く使われています。自分に当てはまるものにいくつ印がつくかを見てみてください。

視点 具体例 見直しの方向
心理的な要因 仕事や家庭のストレス、悩み、緊張、環境の変化 ストレス因の調整、リラックスの時間の確保
生理的な要因 交代勤務、時差、不規則な生活、加齢による変化 起床時刻をそろえる、光の浴び方を整える
身体的な要因 痛み、かゆみ、頻尿、息苦しさ、発熱 もとの病気の治療を担当医と相談する
精神医学的な要因 うつ病、不安症、アルコールの問題 精神科・心療内科での評価
薬理学的な要因 カフェイン、ニコチン、アルコール、一部の薬剤 摂取時刻・量の調整、処方医への相談

ストレスと「眠れないことへの不安」の悪循環

強いストレスがかかると、体は警戒モードになり、眠りに入りにくくなります。ここまでは自然な反応です。問題は、眠れない夜が続くうちに「今夜も眠れなかったらどうしよう」という予期不安が生まれ、布団に入ること自体が緊張のスイッチになってしまう点にあります。厚生労働省の睡眠ガイドでも、眠気が訪れていないのに無理に眠ろうとすると、かえって脳の興奮が高まり寝つきが悪くなることがあると指摘されています。最初のきっかけが解消しても不眠だけが残るのは、この悪循環が働いているためと考えられています。

カフェイン・アルコール・ニコチンの影響

嗜好品の影響は、多くの人が想像するより長く続きます。カフェインの血中半減期には個人差があり、日本人では3〜7時間とばらつきがあると報告されています。夕方以降に100mg以上のカフェイン(コーヒー約1杯分に相当)をとると、寝つきの悪化や深い睡眠の減少、中途覚醒の増加につながる可能性があるとされています。

アルコールは寝つきを早めるように感じられますが、代謝の過程で睡眠を妨げる物質が増え、後半の睡眠が浅くなります。さらに連用によって耐性や依存が形成され、「飲まないと眠れない」状態に至る可能性が指摘されています。たばこに含まれるニコチンにも覚醒作用があります。

加齢に伴う変化と、生活リズムのずれ

年齢を重ねると、眠りが浅くなる、途中で目が覚めやすくなる、朝型化が進むといった変化が起こります。これは病気ではなく生理的な変化ですが、「若い頃と同じように眠らなければ」と長く床に就こうとすると、かえって眠りが分断されてしまいます。一方、10代後半から20代では体内時計が後ろにずれやすく、極端な遅寝遅起きで生活に支障が出る場合は、睡眠・覚醒相後退障害という別の睡眠障害の可能性もあるとされています。

背景に病気が隠れていることがあります

不眠は単独で起こるだけでなく、別の病気の「最初のサイン」として現れることがあります。特に精神科・心療内科の立場から見逃したくないのが、気分や不安の病気と、睡眠そのものの病気です。次の表は、不眠のパターンと併せて確認したいサインをまとめたものです。

背景にありうる病気 出やすい不眠のパターン 併せてみられるサイン
うつ病 早朝覚醒、中途覚醒 気分の落ち込み、興味・喜びの減退、食欲低下、朝がいちばんつらい
不安症(パニック症など) 入眠困難 動悸、過度の心配、緊張が抜けない、息苦しさ
閉塞性睡眠時無呼吸 中途覚醒、熟眠困難 大きないびき、呼吸が止まると指摘される、日中の強い眠気
むずむず脚症候群 入眠困難 夕方から夜に脚の奥がむずむずし、動かすと楽になる
周期性四肢運動障害 中途覚醒 睡眠中に脚がぴくつく、原因のわからない日中の倦怠感
甲状腺機能の異常 入眠困難、中途覚醒 動悸、発汗、体重の変化、手のふるえ
慢性の痛みを伴う病気 入眠困難、中途覚醒 痛みで目が覚める、痛む部位がはっきりしている

早朝覚醒は、うつ病のサインになりうる

4つのタイプの中で、精神科医が特に注意して聞くのが早朝覚醒です。MSDマニュアル家庭版では、朝早く目が覚めてしまうタイプの不眠は、年齢を問わずうつ病の徴候であることがあると記載されています。うつ病では、寝つきが悪いだけでなく、眠っても何度も目を覚まし、特に明け方にその傾向が強まることが知られています。

さらに、朝いちばん気分が重く、夕方にかけて少し楽になるという日内変動がみられることもあります。「早く目が覚めるのは年のせい」と片づける前に、気分の落ち込みや、これまで楽しめたことへの興味の低下が一緒に起きていないかを振り返ってみてください。厚生労働省の睡眠ガイドでも、うつ病などの精神疾患では発症の初期から睡眠の問題が現れ、再燃・再発のリスクを高めることが知られていると説明されています。不眠を入り口に早く相談できれば、それだけ早い段階で対応できる可能性があります。

いびきや日中の強い眠気があるとき

眠る時間は十分なのに休んだ感じがなく、日中に耐えがたい眠気がある場合は、閉塞性睡眠時無呼吸が隠れていることがあります。睡眠中に気道がふさがって呼吸が止まり、そのたびに脳が短く目覚めるため、自覚のないまま眠りが細切れになります。厚生労働省の睡眠ガイドでも、睡眠時無呼吸は中途覚醒型の不眠症と見誤られることがあると説明されています。家族から大きないびきや呼吸の停止を指摘されたことがあれば、その情報は診察の重要な手がかりになります。

脚の不快感や、寝ている間のぴくつき

夕方から夜にかけて脚の奥がむずむずする、じっとしていられない、動かすと楽になるという症状があれば、むずむず脚症候群の可能性があります。この場合、寝つけない原因は「気持ちの問題」ではなく脚の不快感そのものです。睡眠ガイドでも、むずむず脚症候群は入眠困難型の不眠症と誤認されることがあると指摘されています。また、睡眠中に脚が繰り返しぴくつく周期性四肢運動障害では、自覚のないまま中途覚醒が増えることがあります。いずれも対応の方向が一般的な不眠とは異なるため、医師に症状を具体的に伝えることが大切です。

不眠症の治し方 — 3つの柱と、背景疾患への対応

不眠症の治療は「睡眠薬を飲むこと」だけではありません。生活習慣を整える睡眠衛生、考え方と行動に働きかける認知行動療法、そして必要に応じた薬物療法の3つを組み合わせ、背景に病気があればその治療を並行して行うのが基本的な考え方です。

治療の柱 内容 位置づけ
睡眠衛生の改善 光・運動・食事・嗜好品・寝室環境の見直し 最初に取り組む土台。単独でも改善することがある
認知行動療法(CBT-I) 寝床で過ごす時間の調整、眠りに対する考え方の整理 欧米では非薬物療法として推奨。日本では保険適用外
薬物療法 症状やタイプに応じて睡眠薬などを用いる 日本で最も多く用いられる。短期的・補助的が望ましいとされる
背景疾患の治療 うつ病、不安症、睡眠時無呼吸などの治療 原因に直接働きかける。不眠だけを追わない

ステップ1: まず睡眠衛生を見直す

国立精神・神経医療研究センターの解説では、不眠症の治療は不適切な睡眠習慣や対処法を見直すことから始まるとされています。長年の習慣を変えるのは簡単ではありませんが、光の浴び方・起床時刻・嗜好品・寝室の環境といった土台が整っていないと、他の治療の効果も出にくくなります。具体的な内容は次のセクションでまとめて紹介します。

ステップ2: 認知行動療法(CBT-I)という選択肢

不眠に対する認知行動療法は、「寝床=眠れない場所」という結びつきを解き、眠りに対する過度な緊張や思い込みを整理していく方法です。眠くなってから寝床に入る、寝床で過ごす時間を実際に眠れる時間に近づける、といった行動面の工夫が中心になります。欧米では非薬物療法として推奨されている一方、日本では医療保険が適用されていないという課題があると指摘されています。ただし、その考え方の一部は、後述する生活の工夫として日常に取り入れることができます。

ステップ3: 必要に応じて薬物療法を組み合わせる

睡眠衛生の改善だけでは十分でない場合や、つらさが強く生活に支障が出ている場合には、医師の判断で薬物療法が検討されます。日本では睡眠薬による治療が最も多く用いられていますが、国立精神・神経医療研究センターの解説では、睡眠薬は短期的・補助的に用いられることが望ましいとされています。薬だけに頼るのではなく、生活の調整と組み合わせて、少しずつ薬に頼らない状態を目指していくのが一般的な考え方です。

回復までの期間の目安

改善までの期間には大きな個人差があります。短期の不眠なら数週間で戻ることも少なくありませんが、慢性化している場合は生活リズムの立て直しに数ヶ月かかることもあります。「1日でも早く元通りに」と焦る気持ち自体が眠りを妨げます。良い夜と悪い夜を行き来しながら、全体として良い夜が増えていけば回復は進んでいる、と捉えてみてください。

今夜からできる睡眠の工夫

厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、成人について「適正な睡眠時間には個人差があるものの、6時間以上を目安に必要な睡眠時間を確保する」「生活習慣や寝室の環境を見直して睡眠休養感を高める」「不調があるときは病気が潜んでいる可能性にも留意する」ことが推奨事項として示されています。ここでは、その内容をもとに時間帯別の工夫を整理します。すべてを一度に始める必要はありません。できそうなものを1つか2つ選んでみてください。

朝と日中にすること

1. 起床時刻をそろえる — 就寝時刻ではなく起床時刻を一定にすると、体内時計が整いやすくなります

2. 朝日を浴びる — 起床後に強い光を浴びると体内時計がリセットされ、睡眠と覚醒のリズムが整うとされています

3. 日中もできるだけ光を浴びる — 日中に十分な明るさの光を浴びることで夜のメラトニン分泌が増え、入眠が促されると報告されています

4. 朝食をとる — 食事のタイミングも体内時計を整える手がかりになります

5. 習慣的に運動する — 適度な運動は良い眠りにつながるとされています。ただし寝る直前の激しい運動は逆効果になることがあります

夕方から就寝前にすること

1. カフェインは夕方以降を控えめに — 半減期の個人差を考えると、夕方以降の摂取は影響が残りやすいとされています

2. 寝酒に頼らない — 寝つきは早まっても後半の眠りが浅くなり、依存の問題も生じうるため推奨されていません

3. 就寝の1〜2時間前に入浴する — ぬるめの湯にゆっくりつかると深部体温の低下が促され、入眠しやすくなるとされています

4. 就寝前の1時間はリラックスにあてる — 家事や仕事に追われずに過ごす時間を確保することが有効とされています

5. 強い光を避ける — 就寝の約2時間前からメラトニンの分泌が始まるため、それ以降の強い照明やスマートフォンの光は入眠を妨げると報告されています

寝室を整える

  • 寝室にはスマートフォンやタブレットを持ち込まず、できるだけ暗くする
  • 暑すぎず寒すぎない温度に保ち、静かな環境をつくる
  • 体を締めつけない寝衣と、自分に合った寝具を選ぶ

眠れないときにやってはいけない4つのこと

よかれと思ってやっていることが、かえって不眠を長引かせている場合があります。次の4つは特に注意したい行動です。

1. 眠れないまま長く床にいる — 「横になっているだけでも休息になる」と考えて寝床にとどまると、「寝床=眠れない場所」という結びつきが強まります。厚生労働省の睡眠ガイドでも、なかなか寝つけないときは一旦寝床を離れ、静かで暗めの落ち着ける場所で安静に過ごし、眠気が訪れてから寝床に戻ることが勧められています

2. 寝酒でごまかす — 一時的に寝つきは良くなっても、耐性と依存が形成され、量が増えていきやすい方法です。習慣的な寝酒は睡眠の質の悪化とも関連しており、寝酒の原因となる不眠症状があるなら医師への相談が推奨されています

3. 布団の中でスマートフォンを見る — 強い光がメラトニンの分泌を抑えるうえ、情報による刺激が脳の覚醒度を上げます。眠れないときの時計の確認も、焦りを強めるため控えたほうがよいとされています

4. 昼寝をしすぎる — 眠れなかった分を昼間に取り戻そうとすると、夜の眠気が弱まります。特に高齢者では、30分以上の昼寝を習慣にしている人でリスクが指摘されており、長時間・頻回の昼寝は避け、日中は活動的に過ごすことが推奨されています

いまの自分の状態を客観的に整理したいときは、不眠症セルフチェックも活用できます。チェックはあくまで受診を検討するための目安であり、診断は医師の診察によって行われます。

睡眠薬について知っておきたいこと

「睡眠薬は怖い」「一度飲んだらやめられなくなる」というイメージから、受診をためらう人は少なくありません。ここでは、個別の薬の名前や効き目には踏み込まず、一般的な考え方だけを整理します。

睡眠薬には、作用の仕方や作用が続く時間の異なる複数の種類があり、不眠のタイプや年齢、併存する病気を踏まえて選択されます。効き方や体への合い方には個人差があります。MSDマニュアル家庭版では、睡眠薬について耐性や離脱症状、習慣性・依存の可能性があり、特に高齢者では転倒などのリスクにも注意が必要と説明されています。だからこそ、医師の診察を受けたうえで、経過を見ながら使うことが前提になります。

市販の睡眠改善薬と、医師が処方する睡眠薬の違い

ドラッグストアで購入できる「睡眠改善薬」と、医療機関で処方される睡眠薬は、想定されている使い方が異なります。

項目 市販の睡眠改善薬 医師が処方する睡眠薬
想定される対象 環境の変化などによる一時的な寝つきの悪さ 医師が診察のうえ不眠症と判断した状態
考え方 抗ヒスタミン成分の眠気を利用したものが中心 作用の仕方や作用時間の異なる複数の種類から選択
使用期間 短期間の使用が想定され、連用は想定されていない 医師が経過を見ながら調整する
背景の病気 原因の評価は行われない 診察でうつ病や睡眠時無呼吸などの有無を確認できる
費用 全額自己負担 保険診療の対象となる

市販薬を数日試して改善しない、あるいは使う日が増えていると感じたら、それは「効かない薬を探すべきサイン」ではなく「背景を確認するべきサイン」と考えてみてください。薬の種類ごとの違いや漢方薬の位置づけについては、不眠に薬は必要?市販薬・睡眠薬・漢方の違いと正しい受診の目安で詳しく解説しています。

自己判断で急にやめないでください

処方された睡眠薬を、「もう眠れるようになったから」と自分の判断で急に中止すると、かえって不眠が強まることがあります。減らし方や中止のタイミングにも段取りがあるため、やめたいと感じたときこそ医師に伝えてください。「薬をやめたい」という希望は、治療の方針を一緒に組み直すための大切な情報です。飲み心地に違和感がある、日中に眠気が残る、といった変化も、遠慮せず相談することが勧められます。

受診の目安 — こんなときは相談を

次のような状態が続いているなら、医療機関への相談を検討するタイミングと考えられます。

  • 眠れない夜が週3日以上あり、3ヶ月以上続いている
  • 日中の眠気や倦怠感で、仕事・家事・学業に支障が出ている
  • 朝早く目が覚めるようになり、気分の落ち込みも一緒に続いている
  • 家族から大きないびきや呼吸の停止を指摘されたことがある
  • 眠るために飲酒する日が増えている、市販薬を使う日が増えている
  • 「消えてしまいたい」と感じる瞬間がある

特に、死にたい気持ちが強いとき、自分を傷つけたくなったときは、ひとりで抱えず、すぐに相談してください。こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)や、#いのちSOS(0120-061-338)などの公的な相談窓口が利用できます。緊急のときは、119番や救急外来という選択肢もあります。

何科を受診する?オンライン診療という選択肢

不眠の相談先は、心療内科・精神科のほか、睡眠外来やかかりつけの内科も候補になります。気分の落ち込みや不安を伴う場合、あるいはストレスがきっかけと感じる場合は、心療内科・精神科が適しています。いびきや日中の強い眠気が目立つ場合は、睡眠時無呼吸の検査ができる医療機関が候補になります。

とはいえ、「平日の日中に通院する時間がない」「夜眠れずに疲れているのに、受診のために出かける気力がない」という声は少なくありません。オンライン診療に対応した医療機関であれば、自宅からスマートフォンで受診できます。オンライン心療内科・精神科のメントアは、保険適用で、18時〜24時・365日、当日予約にも対応しています。診断書最短即日発行、お薬最短即日発送で、予約から診察までLINEで完結します。眠れない夜に、翌日の予定を崩さず相談できる形のひとつです。

自分の状態を言葉にしにくいときは、症状別のセルフチェック一覧で整理してから受診すると、診察で伝えやすくなります。

よくある質問

不眠と不眠症は何が違うのですか?

不眠は「眠れない」という症状を指す言葉で、誰にでも起こりうる一時的な状態を含みます。不眠症は、その症状が週3日以上・3ヶ月以上続き、日中の生活に支障が出ている状態に対して、医師が診察のうえで判断する診断名です。頻度・期間・日中の支障という3つが目安になります。

何時間眠れば十分ですか?

必要な睡眠時間には個人差があり、年齢によっても変化します。厚生労働省の睡眠ガイドでは、成人は6時間以上を目安に必要な睡眠時間を確保することが推奨されています。時間の長さだけでなく、朝起きたときに休養がとれた感覚(睡眠休養感)があるかどうかも、良い睡眠の目安とされています。

睡眠薬は癖になりませんか?

睡眠薬には種類があり、耐性や依存の生じやすさも一様ではありませんが、習慣性や離脱症状の可能性はあるとされています。だからこそ、医師の診察を受けて、期間や量を相談しながら使うことが前提になります。不安に感じる点は受診時にそのまま伝えてください。使わない方法から検討することもできます。

市販の睡眠改善薬を使い続けても大丈夫ですか?

市販の睡眠改善薬は、環境の変化などによる一時的な寝つきの悪さを想定したもので、長期に連用することは想定されていません。数日使っても改善しない、使う日が増えているという場合は、背景に別の要因がある可能性があります。そのまま使い続けるより、一度医療機関で相談することが勧められます。

寝酒は不眠に効きますか?

寝つきを早めるように感じられても、後半の眠りが浅くなり、全体としては睡眠の質を下げると報告されています。さらに連用によって耐性や依存が形成され、飲まないと眠れない状態に至る可能性が指摘されています。厚生労働省の睡眠ガイドでも、寝酒を含む習慣的な飲酒は推奨されていません。

昼寝はしてもよいですか?

短い昼寝は日中の眠気への対処として役立つことがありますが、長時間・頻回の昼寝は夜の眠りを妨げます。特に高齢者では、30分以上の昼寝を習慣にしている人でリスクが指摘されており、長い昼寝を避けて日中は活動的に過ごすことが推奨されています。眠れなかった分を昼間に取り戻そうとするほど、夜の不眠は固定されやすくなります。

不眠症はどれくらいで治りますか?

経過には大きな個人差があります。きっかけがはっきりしている短期の不眠は、環境が落ち着けば数週間で改善することも少なくありません。慢性化している場合は、生活リズムの立て直しに数ヶ月かかることもあります。良い夜と悪い夜を繰り返しながら、全体として良い夜が増えていく形で回復していくのが一般的です。

眠れないだけで受診してもよいのでしょうか?

問題ありません。不眠は、うつ病や不安症、睡眠時無呼吸などが最初に現れるサインであることもあり、早い段階で背景を確認する意味があります。「まだ軽いから」と我慢するより、日中に困りごとが出ている段階で相談したほうが、選べる対処の幅は広がります。

まとめ

  • 不眠とは、寝つき・眠りの持続・目覚めに問題があり、日中の生活に支障が出ている状態です
  • 週3日以上・3ヶ月以上続き、日中の支障があるときは、治療の対象となる不眠症の可能性があります
  • 不眠は入眠困難・中途覚醒・早朝覚醒・熟眠困難の4タイプに分けられ、対処の方向が変わります
  • 早朝覚醒と気分の落ち込みが重なるときは、うつ病のサインである可能性を考える必要があります
  • 治療は睡眠衛生の見直しを土台に、認知行動療法や薬物療法を組み合わせて進めていきます

眠れない夜が続くと、「自分だけが取り残されている」ような気持ちになるかもしれません。けれど不眠は、原因を整理し、生活を整え、必要な治療を選ぶことで改善が期待できる不調です。今夜できることをひとつ試し、それでもつらさが続くなら、専門家に話してみてください。

出典・参考文献

つらい症状が続くときは、ひとりで抱え込まずご相談ください。メントアは保険適用のオンライン心療内科・精神科です(18時〜24時・365日、当日予約可)。

LINEで予約する

FAQ

心療内科・精神科に関する
よくある質問

仕事帰りでも受診できますか?夜間診療の有無を知りたいです。

クリニックによっては、お仕事をお持ちの方でも通いやすいよう夜間外来を設けている場合があります。当日の最終受付時間や診療曜日は、各院の案内をご確認ください。

今日すぐに診てもらいたいのですが、当日でも受診できますか?

多くのメンタルクリニックは予約制ですが、症状の急変など緊急を要する場合は、当日枠で対応可能なケースもあります。まずは電話やWebサイト等で現在の空き状況を問い合わせるのが確実です。

女性の先生に診察をお願いすることは可能でしょうか?

はい、女性医師が在籍しているクリニックでは、指名や担当日の選択が可能です。公式ホームページの医師紹介欄を確認するか、予約時に「女医を希望」と伝えておくとスムーズです。

漢方薬による治療は受けられますか?

西洋薬だけでなく、体質や症状に合わせた漢方薬を処方しているクリニックも多くあります。「なるべく自然な薬を使いたい」などのご希望があれば、診察時に医師へご相談ください。

診察にかかる費用が気になります。保険は使えますか?

基本的に健康保険が適用されるため、自己負担3割程度で受診いただけます。初診料や処方箋の有無で前後しますが、一般的な目安として数千円程度(4,000円〜6,000円前後)を見ておくと安心です。

診断書を書いてもらうことはできますか?

基本的には、医師が必要と判断した場合、職場や学校に提出するための診断書を発行してくれます。予約時や診察中に「診断書希望」と伝えておくとスムーズです。

初めての受診で、うまく話せるか不安です。準備は必要ですか?

全てを完璧に話そうとしなくても大丈夫です。「いつから」「どのような症状で困っているか」を簡単で良いのでメモしてお持ちいただくと、伝え漏れがなくなり、診察がよりスムーズに進むでしょう。

当日受診できてお薬や診断書も最短即日対応。オンライン心療内科「メントア」

オンライン心療内科 メントアオンライン診療なら当日予約も可能!

「mentoa(メントア)オンライン心療内科」は、忙しくて通院の時間が取れない方や、外出がつらい方でも安心の、自宅からスマホで診療を受けられるオンラインクリニックです。メントアには次のような特徴があります。

選ばれる5つの理由

LINEで
完結
する
手軽さ

当日受診
即日処方
が可能

保険診療

通院と
同じ負担

プライバシー
配慮
で安心

老舗カウン
セリング

と提携

申し込みする女性のイメージ
POINT01

LINEで完結する手軽さ

予約から相談、オンライン診療、薬の受け取りまで、すべてLINE上で完結。通院の必要がなく、忙しい方でも続けやすい仕組みです。

医師が薬を選んでいるイメージ
POINT02

当日受診・即日処方可能

24時間受付、当日相談可能。つらい時にすぐ相談でき、必要に応じて即日で医師により診断書発行も対応します。

電卓とノートの画像
POINT03

保険診療だから通院時と同じ負担

初診5,400円前後、再診2,900円前後(保険適用時)。保険適用のため、安心して受診いただけます。

ポストを開けて荷物を受け取る女性
POINT04

プライバシー配慮で安心

お薬の発送元はクリニックだとわからない表記に。周りに知られる心配がなく、安心してご相談いただけます。

カウンセラーが電話カウンセリングしているイメージ
POINT05

カウンセリング実績40万件超のサービスと提携

40万件以上の相談実績を持つ電話カウンセリングサービス「エキサイトお悩み相談室」と提携。お薬の服用に抵抗がある方は、まずこちらでお話しするのもおすすめです。