月経前になると気分の落ち込みやいらだちが強く出て、仕事や人間関係に支障が出る——この状態はPMDD(月経前不快気分障害)と呼ばれ、正式な診断名があります。米国精神医学会の診断基準DSM-5では抑うつ障害群のひとつに位置づけられており、PMS(月経前症候群)のうち気分の症状が重く、生活に支障が出ているものを指すとされています。「毎月のことだから仕方ない」「性格の問題ではないか」と、ご自身を責めていませんか。月経前に心身が大きく揺れるのは、我慢や意志の力が足りないからではなく、月経周期に関連して起こる医学的な変化と考えられています。

この記事では、次のことがわかります。

  • PMDDの定義と、PMSとの具体的な違い
  • 症状が出る時期の特徴と、周期と無関係に続く場合の考え方
  • 診断で重視される「2周期以上の症状記録」のつけ方
  • 婦人科と心療内科・精神科の役割分担、両方にかかってよい理由
  • 重なりうる状態(うつ病・双極症・不安症・甲状腺の病気など)
  • 治療として知られていること、受診の目安と相談窓口

この記事の監修

星野 奈生子(精神科医)

PMDDとは — 月経前に気分症状が強く出る、診断基準のある状態

PMDD(月経前不快気分障害、premenstrual dysphoric disorder)とは、月経が始まる前の時期に、著しい気分の変動・いらだち・抑うつ気分・不安などが繰り返し現れ、仕事や学業、人間関係に支障が出る状態です。症状は月経が始まると数日以内に軽くなり始め、月経が終わった後の週にはほとんど消えることが特徴とされています。この「毎月同じタイミングで来て、月経とともに引いていく」という周期性が、PMDDを理解する鍵になります。

「性格の問題」ではなく、診断基準のある医学的な状態です

PMDDは、2013年に公表された米国精神医学会の診断基準DSM-5で、初めて独立した疾患として抑うつ障害群に分類されました。それ以前は研究段階の診断として付録に置かれており、正式な診断カテゴリーになってからまだ十数年ほどです。日本精神神経学会の学会誌でも、PMDDは月経前の抑うつがうつ病に匹敵するほど重症化し、日常生活に支障をきたす疾患として説明されています。

つまりPMDDは、気の持ちようとして片づけられる状態ではなく、診断基準に沿って評価され、治療の対象になりうる医学的な状態です。「毎月これで人間関係を壊してしまう」と感じてきた方にとって、状態に名前がつくこと自体が、状況を整理する助けになることがあります。

どれくらいの人にみられるのでしょうか

MSDマニュアルによると、PMS(月経前症候群)は妊娠可能年齢の女性の約20〜50%にみられ、その重症型にあたるPMDDは同じ年齢層の約5%、閉経前女性では3〜8%程度と推定されています。ただし報告には幅があり、厚生労働省「こころの耳」の用語解説では、PMSの出現頻度は数%から約80%まで様々な数値が報告されていると紹介されています。軽い症状まで含めるかで数字が変わるためです。月経前の不調そのものは多くの人が経験しており、そのなかで生活が立ちゆかなくなるレベルのものがPMDDにあたります。

「月経前不快気分障害」と「月経前不快気分症」

日本語の病名としては「月経前不快気分障害」が広く使われてきましたが、近年は「月経前不快気分症」という表記も用いられています。国際的な診断基準ICD-11の日本語病名の整理にともなうもので、日本精神神経学会の学会誌でも両方の表記が併記されています。指している状態は同じですので、医療機関でどちらの表記を見かけても心配はいりません。

PMSとPMDDの違いを整理する

PMSとPMDDは、まったく別の病気というより「地続きの関係」にあります。PMSは月経前に現れる心身の不調をまとめて指す広い概念で、PMDDはそのなかでも気分の症状が重く、生活に明らかな支障が出ているものを指します。

比較の観点 PMS
(月経前症候群)
PMDD
(月経前不快気分障害)
主な症状 腹部の張り、乳房の痛み、頭痛、腰痛、むくみ、眠気などの身体症状に、いらだちや落ち込みが加わる 著しい気分の変動、強いいらだち・怒り、抑うつ気分、不安や緊張が中心。身体症状も伴う
気分症状の重さ 軽度〜中等度のことが多い 抑うつエピソードに匹敵するほど重くなることがある
生活への支障 不快だが、仕事や家事は続けられることが多い 仕事や学校を休む、対人関係が壊れるなど、明らかな支障が出る
診断基準の有無 国際的に統一された診断基準はない DSM-5に診断基準がある(症状数・時期・記録の要件)
症状の数の目安 定められていない 月経開始前の最終週に5つ以上(うち気分症状が1つ以上)
主にかかる科 婦人科・産婦人科が中心 心療内科・精神科が中心。婦人科と併行することも多い
治療の考え方 軽症なら生活の工夫が中心。重い場合に薬物療法やホルモン療法 気分症状への治療が中心。ホルモン面は婦人科で対応

分かれ目は「生活に支障が出ているか」

PMSとPMDDを分ける実務上のポイントは、症状の種類よりも「臨床的に意味のある苦痛が生じているか」「仕事・学校・社会活動・人間関係が妨げられているか」にあります。DSM-5の診断基準にも、この生活機能への影響が独立した項目として置かれています。日本精神神経学会の学会誌でも、実際の臨床では、月経前の症状で仕事や学校を休む、能率が極端に落ちる、他人との口論が増えるといった支障が出ているかどうかで判断することが多い、と説明されています。

反対に、月経前にイライラや眠気があっても、いつもどおり仕事や家事を続けられているのであれば、PMSの範囲と考えられることが多くなります。つらさの程度は数値で測れないため、生活への影響が物差しとして使われているのです。

重いPMSとPMDDは、自分では見分けにくいものです

重症のPMSとPMDDの区別は、専門家でも難しい場合があります。日本精神神経学会の学会誌には、PMDDを疑って専門外来を受診した人のうち、実際にはPMSであったり、他の精神疾患が月経前に悪化していたりするケースが少なくないことが報告されています。逆に、PMDDに該当するのに見過ごされている人もいると指摘されており、過剰診断と過少診断の両方が起こりうる状態だとされています。インターネットの情報だけで自己判断せず、医師の診察で整理していくことが大切です。

症状が出る時期の特徴 — 「周期性」が最大の手がかり

PMDDを他の状態と区別するうえで、症状の内容以上に重要なのが「いつ出て、いつ消えるか」です。厚生労働省「働く女性の心とからだの応援サイト」では、月経前の不快症状は月経開始の3〜10日前から始まり、月経が始まると軽快・消失すると説明されています。DSM-5の診断基準でも、症状は月経開始前の最終週に現れ、月経開始から数日以内に軽くなり始め、月経終了後の週には最小限になるか消えることが求められます。

月経周期の時期 PMDDでみられる典型的な状態
月経終了後〜排卵まで
(卵胞期)
気分は落ち着いており、症状はほとんどない
排卵後〜月経前の1週間
(黄体期後半)
気分の変動・いらだち・落ち込み・不安が強まり、生活に支障が出る
月経が始まって数日以内 症状が軽くなり始める
月経終了後の1週間 症状は最小限になるか、消失している

PMDDで現れやすい症状の内訳

DSM-5の診断基準では、症状を大きく2つのグループに分けたうえで、あわせて5つ以上あることが求められています。少なくとも1つは、気分に関する症状である必要があるとされています。

症状のグループ 具体的な内容
気分に関する症状(1つ以上が必須) 著しい気分の不安定さ(突然悲しくなる、涙もろくなる、拒絶に敏感になる)、強いいらだちや怒り・対人関係の摩擦、著しい抑うつ気分や絶望感・自己批判的な考え、強い不安や緊張
その他の症状(あわせて5つ以上になるように) 普段の活動への興味の低下、集中しづらさ、倦怠感や気力の低下、食欲の変化・過食・特定の食べ物への強い欲求、過眠または不眠、圧倒される・制御できないという感覚、乳房の張りや痛み・関節痛・むくんだ感じなどの身体症状

これらが直近1年のほとんどの月経周期で繰り返されていることも、診断上の目安とされています。1回だけ調子が悪い月があった、という場合はPMDDには当たりません。

周期と無関係に続くなら、別の状態を考えます

ここが最も大切な注意点です。月経が終わった後の週にも気分の落ち込みや不安が残っている場合、それはPMDDではなく別の状態である可能性が高いと考えられています。日本精神神経学会の学会誌でも、PMDDと「もともとある精神疾患の月経前の悪化」を分ける鑑別点は、月経終了後の1週間に精神症状を認めるかどうかにあると明記されています。

  • 月経が終わっても落ち込みが続く → うつ病など、周期と関係のない状態を考える
  • 月経前に強く悪化するが、それ以外の時期にも症状がある → 後述する「月経前増悪」の可能性
  • 月経前だけに集中し、月経後には消える → PMDDの特徴に合致する

「生理前がつらい」という自覚があっても、それがPMDDなのか、別の不調が月経前に目立っているだけなのかは、周期全体を見ないと判断できません。次章の記録が重視されるのは、このためです。

症状の記録のすすめ — 2周期以上の記録が診断で重視されます

PMDDの診断基準には、少なくとも2回以上の月経周期にわたって、毎日の症状を前向きに(=あとから思い出すのではなく、その日その日に)記録して確認する、という項目が置かれています。国際的な診断基準ICD-11でも同様とされ、MSDマニュアルでも、PMDDが疑われる場合には2周期以上にわたって日々の症状を評価するよう指示すると説明されています。

記憶をたどって伝えるのと、2周期分の記録を見せるのとでは、診察の精度が変わります。受診を考え始めた今日から始められる、最も実用的な一歩です。

記録する項目 記録のしかたの例
月経の開始日・終了日 カレンダーに印をつけ、周期の何日目かが分かるようにする
気分の症状 落ち込み・いらだち・不安・涙もろさを、0〜3や0〜10の点数で
生活への支障 仕事を休んだ/能率が落ちた/家事ができなかった/口論になった、を◯×で
体の症状 乳房の張り、頭痛、むくみ、腹部の張り、食欲の変化、眠気や不眠
睡眠 就寝・起床の時刻、途中で目が覚めた回数
その他の要因 飲酒、残業、大きな出来事など、症状に影響しそうなこと

記録を続けるコツ

完璧を目指すと続きません。まずは「気分の点数」と「月経の開始日」の2つだけでも十分に役立ちます。1日1回、寝る前に30秒で書ける形にしておきましょう。紙の手帳でも月経管理アプリでもかまいません。記録をつけていると「思っていたより症状の出る期間が短かった」「実は月経後も落ち込んでいた」といった、自分の思い込みとのズレに気づくこともあります。

診断がつく前でも、相談してかまいません

「2周期分の記録がないと受診できないのでは」と考える必要はありません。診断基準の上でも、記録による確認に先立って暫定的に診断を下してよいとされています。つらさが強いときは、記録が揃うのを待たずに相談してください。受診時に伝えれば、何をどう記録するかを一緒に決められます。

重なりうる状態・見分けが必要な状態

月経前の不調には、PMDD以外の状態が関わっていることがあります。ここを整理しておくと、「婦人科に行ったが解決しなかった」といった行き違いを減らせます。

もともとの不調が月経前に悪化する場合(月経前増悪)はPMDDと区別されます

すでに何らかの精神疾患がある人では、月経前に症状が強まることが多いと知られています。これは「月経前増悪(PME)」と呼ばれ、PMDDとは区別されます。日本精神神経学会の学会誌では、この状態は「もとの病名+PMS」と診断すべきものとされ、PMDDと誤って診断すると必要な治療が不十分になったり、逆に過剰な治療につながったりする可能性が指摘されています。

見分けのポイント PMDD 月経前増悪(PME)
月経終了後の週の状態 症状がほぼ消えている 何らかの症状が残っている
もともとの診断 月経前以外は精神的に安定している うつ病や不安症などの診断がすでにある、または該当する
診断名の扱い 月経前不快気分障害として扱う もとの疾患名に月経前の悪化を併記して扱う
治療の中心 月経周期に合わせた対応が検討される もとの疾患の治療を整えることが優先される

月経前に悪化しやすい状態として、うつ病、持続性抑うつ障害(気分変調症)、双極症(双極性障害)、パニック症、統合失調症、注意欠如・多動症(ADHD)などが挙げられています。境界性パーソナリティ障害でも、月経前に行動面の問題が出やすくなるとされています。

重なりうる主な状態

  • うつ病: 月経周期と関係なく、抑うつ気分や興味の低下が2週間以上ほぼ毎日続くことがあります。月経後も落ち込みが残るなら、こちらを考える必要があります。うつ病のセルフチェックで、いまの状態を客観視してみる方法もあります。
  • 双極症(双極性障害): 気分の波が大きく変動し、気分が高揚して活動的になりすぎる時期があることがあります。月経周期と無関係な波が混ざっている場合は注意が必要とされています。
  • 不安症: 動悸や息苦しさ、強い心配が月経周期と関係なく続き、PMDDの不安症状と重なって見えることがあります。
  • 甲状腺の病気: 甲状腺の機能異常でも、いらだち・不安・疲れやすさ・気分の変動が起こることがあります。DSM-5の診断基準でも、こうした身体疾患による影響ではないことを確かめることが求められています。
  • 月経困難症・貧血など: 強い月経痛や貧血による倦怠感が、気分の落ち込みとして自覚されることがあります。

これらは併存することもあります。だからこそ、周期全体の記録と医師の診察を組み合わせて整理することが大切とされています。

PMDDの治療として知られていること

PMDDの治療は、生活の調整・精神療法・薬物療法・ホルモン面へのアプローチを、症状の重さと生活状況に応じて組み合わせるのが一般的とされています。どれか一つが唯一の正解ではなく、記録をもとに医師と相談しながら選んでいく形になります。

アプローチ 内容 主に扱う診療科
生活の調整 睡眠時間の確保、運動、食事の見直し、月経前に予定を詰め込まない工夫 自分でも取り組める
精神療法 認知行動療法など、症状が強い時期の受け止め方と対処の幅を広げる 心療内科・精神科
薬物療法(気分症状) SSRIなどの抗うつ薬が用いられることがある。黄体期にのみ使う間欠的な使い方も知られる 心療内科・精神科
ホルモン面のアプローチ 低用量ピル(経口避妊薬)などのホルモン療法 婦人科・産婦人科
身体症状への対症療法 痛みに対する鎮痛薬、むくみへの対応など 婦人科・内科

生活の調整からできること

睡眠不足や過労は、月経前の症状を強めやすいと考えられています。月経前の1週間は残業や重要な予定を減らす、睡眠時間を優先する、有酸素運動を取り入れる、カフェイン・アルコール・塩分を控えめにするといった工夫が、症状の軽減に役立つとされています。効果には個人差があり、これだけで十分でない場合も多くありますが、他の治療と併行して土台になる部分です。記録があると症状の出る時期が分かるため、そこに大事な予定を入れない、という組み方もしやすくなります。

精神療法という選択肢

認知行動療法などの精神療法は、症状そのものを消す方法ではありませんが、「この時期の自分は普段と違う」と切り分けて捉える助けになり、対人関係のトラブルを減らすことにつながるとされています。月経前の言動をあとから過剰に責めてしまう悪循環を和らげる目的でも用いられます。

薬物療法は医師と相談しながら

PMDDに対しては、SSRIなどの抗うつ薬が用いられることがあり、月経前の限られた期間にのみ使う間欠的な使い方が知られています。ホルモン面からのアプローチとしては、低用量ピルなどが婦人科で用いられることがあります。

ただし、どの薬をどう使うかは、症状の内容、他の病気の有無、妊娠を希望するかどうかなど、多くの条件によって変わります。作用の感じ方や副作用の出方にも個人差があります。個別の薬の効き目や使い方は必ず診察のうえで医師に相談してください。すでに服用中の薬がある場合は、自己判断で中断しないでください。

婦人科と心療内科・精神科、どちらにかかる?

「PMDDは婦人科なのか、心療内科なのか」は、多くの方が迷うところです。結論から言うと、どちらも正解であり、両方にかかってかまいません。これは制度の曖昧さではなく、PMDDという状態が持つ性質そのものに由来します。

DSM-5では、PMDDは抑うつ障害群、つまり気分の問題を扱う領域に分類されています。一方、国際的な診断基準ICD-11では、PMDDの主な分類先は「尿路性器系の疾患」の章にある月経前の障害であり、抑うつ症群は二次的な分類先とされています。日本精神神経学会の学会誌でも解説されているこの違いは、国際的な基準の側でもPMDDが婦人科と精神科の両面を持つ状態として扱われていることを示しています。

相談したい内容 主に
担当する科
具体的に扱われること
月経周期の調整、ホルモン面の治療 婦人科・産婦人科 低用量ピルなどのホルモン療法、月経困難症・子宮内膜症の確認
強い月経痛、経血量の異常、不正出血 婦人科・産婦人科 婦人科的な原因の検査と治療
気分の落ち込み・いらだち・不安が中心 心療内科・精神科 気分症状への治療、精神療法
うつ病・双極症・不安症などとの見分け 心療内科・精神科 周期全体の経過をふまえた鑑別
月経前増悪かどうかの整理 心療内科・精神科 もとの診断の見直しと治療の調整
仕事を休む必要がある場合の診断書 心療内科・精神科(状況により婦人科) 症状と業務への影響をふまえた相談

両方にかかることは、遠回りではありません

婦人科でホルモン面の治療を受けながら、心療内科・精神科で気分症状の相談を続ける、という形は珍しくありません。PMDDのように領域をまたぐ状態では、専門に分けて相談したほうが整理が進むことがあります。受診の際は、もう一方の科での治療内容と使っている薬を伝えてください。重複や飲み合わせを避けるうえで重要な情報になります。

なお、心療内科・精神科では、ホルモン療法や婦人科の内診・超音波検査は行いません。婦人科的な検査や治療が必要なときは、お近くの婦人科・産婦人科での受診をご検討ください。

迷ったときの選び方

  • 気分の落ち込み・いらだちが一番つらい、人間関係や仕事に影響している → 心療内科・精神科
  • 月経痛や経血量など、月経そのもののトラブルが強い → 婦人科・産婦人科
  • 月経後も不調が続いている → 心療内科・精神科
  • すでに婦人科で低用量ピルを使っているが、気分の症状が残っている → 心療内科・精神科に併せて相談

どちらから始めても、必要に応じてもう一方の受診を勧められます。「間違った科に行ってしまった」と気にする必要はありません。

受診の目安と、つらさが強いときの相談先

次のような状態が続いているなら、医療機関への相談を検討する目安です。

  • 月経前になると仕事や学校を休んでしまう、欠勤や遅刻が増える
  • 月経前の言動が原因で、家族やパートナー、職場との関係が繰り返しこじれている
  • 月経前に強い落ち込みや不安があり、日常生活が立ちゆかない
  • 月経が終わった後も、気分の落ち込みや不安が続いている
  • 月経前に飲酒量が増える、過食が止まらないなど、対処が難しい行動が出ている
  • 「消えてしまいたい」と感じる瞬間がある

とくに最後の項目は重要です。PMDDでは月経前に自殺念慮がみられることがあると報告されています。死にたい気持ちが強いとき、自分を傷つけたくなったときは、ひとりで耐えず、すぐに相談してください。 こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)や、#いのちSOS(0120-061-338)などの公的な相談窓口が利用できます。緊急のときは、119番や救急外来という選択肢もあります。「毎月のことだから耐えればいい」と考えず、そのときのつらさに対して助けを求めてかまいません。

いまの状態を整理したい場合は、症状別のセルフチェック一覧も参考になります。セルフチェックは診断ではなく、受診を検討するための目安です。結果が軽く出た場合でも、生活に支障が出ているなら相談する価値があります。

通院が難しいときのオンライン診療

月経前の不調は、まさにその「つらい時期」に外出や通院のハードルが上がります。オンライン診療に対応した医療機関であれば、自宅からスマートフォンで受診できます。オンライン心療内科・精神科のメントアは、保険適用で、18時〜24時・365日、当日予約にも対応しています。診断書最短即日発行、お薬最短即日発送で、予約から診察までLINEで完結します。

なお、オンラインでも対面でも、診断は医師の診察によって行われます。2周期分の記録を用意しておくと、限られた診察時間でも状況が伝わりやすくなります。

周囲の人・パートナーにできること

「毎月のことだから」で片づけないこと。これが、周囲の方に最もお願いしたいことです。月経前の強いいらだちや落ち込みは、本人の性格でも、あなたへの本心でもなく、周期に関連して起こる症状として理解されています。本人自身が、あとから「なぜあんなことを言ってしまったのか」と強く自分を責めていることも少なくありません。

  • 症状が出る時期に起きた言い争いを、本人の人格の問題として蒸し返さない
  • 「またその時期?」といった言い方を避ける。周期を把握するのは本人の記録の役割です
  • つらい時期の家事や予定を、あらかじめ減らせるよう一緒に調整する
  • 「病院に行ったほうがいい」と迫るより、「一緒に予約してみようか」と具体的に手伝う
  • 本人がつけている記録の内容を、勝手に評価・否定しない
  • 死にたい気持ちを打ち明けられたときは、否定も説得もせず受け止め、相談窓口や受診につなぐ

支える側にも負担がかかります。抱え込まず、支える側自身が相談窓口を利用することも選択肢です。周囲が状態を理解しているだけで、本人の孤立感は変わるとされています。

よくある質問

PMSとPMDDは何が違うのですか?

PMSは月経前に現れる心身の不調を広く指す言葉で、PMDDはそのうち気分症状が重く、生活に明らかな支障が出ているものを指します。PMDDにはDSM-5の診断基準があり、月経開始前の最終週に5つ以上の症状があること、月経終了後の週には症状が最小限になるか消えることが定められています。地続きの関係ですが、主にかかる科が変わります。

PMDDは何科を受診すればよいですか?

気分の落ち込みやいらだちが中心なら心療内科・精神科、月経痛や経血量など月経そのもののトラブルが強ければ婦人科・産婦人科が目安です。PMDDは両方の性質を持つ状態とされており、両方にかかってかまいません。すでに一方で治療を受けている場合は、その内容をもう一方の医師にも伝えてください。

生理前だけ「死にたい」と感じます。これは異常でしょうか?

異常でも、性格の問題でもありません。PMDDでは月経前の時期に自殺念慮がみられることがあると報告されています。周期的なものだからと我慢せず、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)や#いのちSOS(0120-061-338)に相談してください。

診断されるまで何周期の記録が必要ですか?アプリでもよいですか?

DSM-5では、2回以上の月経周期にわたる毎日の前向きな記録で確認するとされています。紙の手帳でも月経管理アプリでもかまいません。ただし記録が揃うまで受診を待つ必要はなく、診断基準上も暫定的な診断を先に下してよいとされています。つらいときは記録を始めた段階で相談してください。

低用量ピルを飲んでいますが、気分の落ち込みが残ります。どうすればよいですか?

ホルモン面のアプローチで身体症状が改善しても、気分の症状が残ることがあります。その場合は心療内科・精神科で相談する価値があります。ピルの継続や変更は処方している婦人科の医師と、気分症状は心療内科・精神科と、役割を分けて相談するとよいでしょう。自己判断で中断しないでください。

月経が終わっても気分が落ち込んだままです。これもPMDDですか?

月経終了後の週にも症状が残る場合は、PMDDではなく別の状態を考える必要があるとされています。もともとある不調が月経前に強まる「月経前増悪」や、周期と関係のないうつ病などの可能性があります。この場合はもとの状態への治療を整えることが優先されます。周期全体の記録を持参して相談してください。

PMDDで診断書はもらえますか?

医師が診察のうえで必要と判断すれば発行されます。休職や勤務調整の相談で必要になる場合があります。ただし月経周期に沿って症状が変動する状態のため、記載内容は症状と業務への影響によって変わります。必要な場面と提出先を受診時に伝えてください。

生活の工夫だけで乗り切ることはできますか?

睡眠の確保、運動、食事の見直し、月経前に予定を詰め込まない工夫は、症状の軽減に役立つとされています。ただし効果には個人差があり、それだけでは十分でないこともあります。仕事を休む、人間関係が壊れるといった支障が出ているなら、医療機関への相談が勧められます。

まとめ

  • PMDD(月経前不快気分障害)は、月経前に気分症状が強く出て生活に支障が出る状態で、DSM-5に診断基準がある正式な診断名です
  • PMSとの違いは「気分症状の重さ」と「生活への支障」にあり、診断基準が定められているのはPMDDのほうです
  • 症状は月経開始前の最終週に強まり、月経開始後は数日で軽くなり、月経終了後の週にはほぼ消えるという周期性が手がかりになります
  • 月経後も不調が続く場合は、月経前増悪や別の状態を考える必要があり、2周期以上の記録が判断の材料になります
  • ホルモン面の治療は婦人科、気分症状や他の状態との見分けは心療内科・精神科が担当します。両方にかかってかまいません

毎月訪れるつらさを、性格や我慢の問題として抱え続ける必要はありません。まずは今日から記録を始めること、つらさが強いときはためらわず相談すること。そこから状況は動き始めます。

出典・参考文献

つらい症状が続くときは、ひとりで抱え込まずご相談ください。メントアは保険適用のオンライン心療内科・精神科です(18時〜24時・365日、当日予約可)。

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FAQ

心療内科・精神科に関する
よくある質問

仕事帰りでも受診できますか?夜間診療の有無を知りたいです。

クリニックによっては、お仕事をお持ちの方でも通いやすいよう夜間外来を設けている場合があります。当日の最終受付時間や診療曜日は、各院の案内をご確認ください。

今日すぐに診てもらいたいのですが、当日でも受診できますか?

多くのメンタルクリニックは予約制ですが、症状の急変など緊急を要する場合は、当日枠で対応可能なケースもあります。まずは電話やWebサイト等で現在の空き状況を問い合わせるのが確実です。

女性の先生に診察をお願いすることは可能でしょうか?

はい、女性医師が在籍しているクリニックでは、指名や担当日の選択が可能です。公式ホームページの医師紹介欄を確認するか、予約時に「女医を希望」と伝えておくとスムーズです。

漢方薬による治療は受けられますか?

西洋薬だけでなく、体質や症状に合わせた漢方薬を処方しているクリニックも多くあります。「なるべく自然な薬を使いたい」などのご希望があれば、診察時に医師へご相談ください。

診察にかかる費用が気になります。保険は使えますか?

基本的に健康保険が適用されるため、自己負担3割程度で受診いただけます。初診料や処方箋の有無で前後しますが、一般的な目安として数千円程度(4,000円〜6,000円前後)を見ておくと安心です。

診断書を書いてもらうことはできますか?

基本的には、医師が必要と判断した場合、職場や学校に提出するための診断書を発行してくれます。予約時や診察中に「診断書希望」と伝えておくとスムーズです。

初めての受診で、うまく話せるか不安です。準備は必要ですか?

全てを完璧に話そうとしなくても大丈夫です。「いつから」「どのような症状で困っているか」を簡単で良いのでメモしてお持ちいただくと、伝え漏れがなくなり、診察がよりスムーズに進むでしょう。

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